F1史上初めてインドにグランプリがやってきた今週末。初代インドGPウイナーになったのはセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だった。予選でポールポジションを獲得し、ファステストラップを刻んでトップチェッカーを受けるというハットトリックを記録し、2位のジェンソン・バトン(マクラーレン)、3位のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)を抑え込んだ。

今回のレースでは終盤に自己ベストタイムを刻むドライバーが多く、ファステストラップをマークしたベッテルをはじめバトン、エイドリアン・スーティル、ポール・ディ・レスタ(共にフォース・インディア)、ヘイキ・コバライネン(ロータス)がファイナルラップに自己ベストを残したことから、燃料が減っていたこともあるが路面コンディションが相当向上していた様子だ。

今週末も上位チームに次ぐ中団チーム勢のバトルは激しく、トップ4以外のチームで入賞したのは8位にハイメ・アルグエルスアリ(トロ・ロッソ)、9位にエイドリアン・スーティル(フォース・インディア)、10位にセルジオ・ペレス(ザウバー)とコンストラクターズ選手権6位を争う3チームが1台ずつポイントを手にした。この3チームの序列が現在のチーム力をそのまま表していると言えそうで、この2戦で12ポイントを稼いだトロ・ロッソはザウバーに並んで7位に浮上。残り2戦におけるトロ・ロッソとフォース・インディアの争いは興味深いものになりそうだ。残念ながらザウバーは最も厳しい立場となっている。

【レッドブル】
セバスチャン・ベッテル(予選:ポールポジション/決勝:優勝)
マーク・ウェバー(予選:3番手/決勝:4位)

ハミルトンがグリッド降格ペナルティを受けたために、レッドブルはフロントローから発進。ベッテルはポジションを守ったが、ウェバーはトップスピードに優れるバトンに攻略されてしまい、3位に後退。その後ピットストップでアロンソにも先を行かれ、コース上でポジションを取り戻すことができなかった。ベッテル、2番手バトンが5秒ほどのギャップを維持してついてくるために気の抜けない走りを余儀なくされたが、最終周にファステストラップをたたき出した。ベッテルはシーズン11勝目をマークし、シューマッハが2004年に記録したシーズン13勝という最多勝に並ぶ可能性をまだ有している。

【マクラーレン】
ルイス・ハミルトン(予選:2番手/決勝:7位)
ジェンソン・バトン(予選:5番手/決勝:2位)

ハミルトンは金曜フリー走行1回目で黄旗を無視したとして、3グリッド降格処分を受けてしまった。そのために予選を2番手で通過したものの5番グリッドからのスタートに。レースではマッサとの接触によってフロントウイングを破損、緊急ピットインを強いられてしまい、最後はメルセデスGP勢に抑えられる形で7位入賞。ドライバーズ選手権2位という目標はかなり厳しい状況となっている。バトンはスタートでアロンソを抜き、1周目のバックストレートでトップスピードを生かしてウェバーをオーバーテイク。その後はアロンソと2秒から8秒ほど後方を走り続けたが、十分に接近することはできずに2位となっている。

【フェラーリ】
フェルナンド・アロンソ(予選:4番手/決勝:3位)
フェリペ・マッサ(予選:6番手/決勝:リタイア)

アロンソは3位表彰台に上ったが、終始ウェバーからのプレッシャーを受ける厳しい戦いだった。ハミルトンの後退とウェバーの各スティント終盤のタイムの落ちがアロンソを3位という位置まで推し進めたと言えよう。マッサは今回のレースでもハミルトンと接触したが、ハミルトンに対してスペースを残さずにターンインし接触を招いたとしてレーススチュワードからドライブスルーペナルティが下された。マッサは不満があるようだが、ハミルトンのほうがやや後ろにいたとはいえ、すでに懐に入っている状況ではスペースを与えてコーナーに進入するのがフェアなバトルであり、マッサは思慮深い行動に欠けたと判断されても仕方ないだろう。意外かもしれないが、マッサはさまざまなトラブルに巻き込まれつつも10戦連続入賞を果たしていたのだが、モナコGP以来のノーポイントに終わっている。

【メルセデスGP】
ミハエル・シューマッハ(予選:12番手/決勝:5位)
ニコ・ロズベルグ(予選:7番手/決勝:6位)

ハミルトンとマッサが接触により後退を強いられたことで、メルセデスGPは5位と6位という考え得る限り最高の位置でゴール。特にシューマッハは12番手から発進し、忍耐のレースでポジションを上げることに成功した。トップスピードの速さは健在で、直線区間が多いセクター1では速さを発揮している。

【ルノー】
ブルーノ・セナ(予選:15番手/決勝:12位)
ヴィタリー・ペトロフ(予選:11番手/決勝:11位)

予選では本来のパフォーマンスを発揮できず、予選Q1でトップタイムを記録してみせたペトロフは前戦韓国GPでシューマッハに追突してしまった責任を問われて5グリッド降格処分を受けたため、2台共に後方からの発進になった。それでも、レースでも本来のスピードを発揮できず、フォース・インディア勢やトロ・ロッソ勢と入賞圏を争うもノーポイントに終わっている。

【ウィリアムズ】
ルーベンス・バリチェロ(予選:16番手/決勝:15位)
パストール・マルドナド(予選:14番手/決勝:リタイア)

マルドナドはルノー勢と争って一時は入賞圏内に飛び込むかというパフォーマンスを発揮していたが、ギアボックストラブルでリタイア。バリチェロはオープニングラップの接触に関係し、緊急ピットストップを行って下位に沈んでしまった。イギリスの名門チームは17戦を終えて獲得したのはわずかに5ポイント。史上最低と言われた2006年でさえも8位までの入賞というルールで11ポイント(コンストラクターズ8位)を獲得しており、今年はさらに低調な結果を残してしまいそうだ。

【フォース・インディア】
エイドリアン・スーティル(予選:8番手/決勝:9位)
ポール・ディ・レスタ(予選:13番手/決勝:11位)

インド資本のフォース・インディアはインドGPに気合が入っていたはずだが、スーティルがしっかり入賞を果たしてポイントをもぎ取った。ここ最近はトロ・ロッソに押され気味だが、コンストラクターズ選手権6位の座は守っている。

【ザウバー】
小林可夢偉(予選:18番手/決勝:リタイア)
セルジオ・ペレス(予選:17番手/決勝:10位)

可夢偉は予選でトラフィックの影響を受けて満足にアタックできず、レースでは他車のグリッド降格により17番手スタートになるも、わずか数百メートル走ったところでアクシデントに巻き込まれ、セクター1でリタイア。接触によってラジエーターが壊れ、走行不能な状態になってしまったのだ。ペレスはハードタイヤでスタートし、1周目にピットインしてソフトタイヤに交換。その後はアグレッシブなレースを展開し、1ポイントを拾っている。しかし、トロ・ロッソとフォース・インディアの勢いを抑えることはできず、逆にロータス勢に近寄られているのは紛れもない事実だ。

【トロ・ロッソ】
セバスチャン・ブエミ(予選:9番手/決勝:リタイア)
ハイメ・アルグエルスアリ(予選:10番手/決勝:8位)

ダブル入賞を狙える位置を走っていたトロ・ロッソ勢だが、ブエミにはマシントラブルが発生。鈴鹿でもタイヤの脱落によって入賞を逃しており、アルグエルスアリよりも不運なシーンは多いイメージだ。今週末のトロ・ロッソはメルセデスGPに次ぐ5番手チームとして速さを発揮しており、残り2戦も注目の存在といえるだろう。

【ロータス】
ヘイキ・コバライネン(予選:19番手/決勝:14位)
ヤルノ・トゥルーリ(予選:20番手/決勝:19位)

トゥルーリは1周目の接触によって大きく後退してしまったが、コバライネンはコンペティティブなタイムを刻み、ウィリアムズを抑えてゴールすることに成功。さすがに入賞圏との差は大きいが、印象的な走りを見せてくれている。

【HRT】
ナレイン・カーティケヤン(予選:22番手/決勝:17位)
ダニエル・リカルド(予選:21番手/決勝:18位)

今週末のHRTはビタントニオ・リウッツィに代わってインド人ドライバーのナレイン・カーティケヤンがレースに出走。カーナンバーも通常はリカルドがリウッツィより若い22番をつけているが、今回はカーティケヤンが22番、リカルドは23番(ちなみにシャシーは変更せず)を背負ってレースに挑んだ。カーティケヤンは母国レースで満足のいく結果を残し、リカルドを上回ってゴールしている。

【ヴァージン】
ティモ・グロック(予選:24番手/決勝:リタイア)
ジェローム・ダンブロジオ(予選:23番手/決勝:16位)

グロックは予選でギアボックストラブルに見舞われ、レースでも接触によってガレージでリタイアを決断。ダンブロジオは完走を果たしている。

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