きたる12月3日、深夜アニメから飛び出した『映画けいおん!』が劇場公開される。

すでに昨年から、『劇場版涼宮ハルヒの消失』や『劇場版マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~』が好成績を挙げたことで、深夜アニメの映画化が注目を浴びていた。

「もちろん、一般の大作映画やジブリアニメのように100億円規模の興収を叩き出す作品に比べ、『ハルヒ』や『マクロス』でさえ10億円以下の規模ですから、深夜アニメ勢の影響力は業界にとって大きくはありません。しかし、小規模のスクリーンが乱立するこのシネコン時代において、数は少なくても確実な動員が見込め、かつ長く足を運んでくれる熱心なファンの多い深夜アニメ発の映画は、劇場にとっても使い勝手のいい物件なんです」(大手映画配給会社の営業担当)

また、制作サイドにとっても、たとえ大きな興行収入が見込めないにせよ、映画化は立派なビジネスになっている。

「パッケージ(DVDやBD)に儲けの基本を置くメーカーにとっても、劇場にかけること自体が魅力的なプロモーションになり得ます。テレビだと、放送局も首都圏に限られることが多い上に、本質的にその時限りしか作品に触れる機会がない。でも、映画にすると全国に持っていける上に、うまくいけば長期間にわたって流してもらえる。そこで微々たるお金を稼ぎながらファンを増やして、最終的にパッケージ販売につなげるのが理想ですね」(大手アニメメーカーの配給担当)

ただし、映画は“10本中7、8本は赤字”というハイリスクな商売だけに、深夜アニメといえどもコケた作品は数知れない。いったいどんな作品ならファンに受け入れられるのか?

「まず、“それを求めるお客の顔が見えているか”が大事。『ハルヒ』を作った京都アニメーションブランドや、『マクロス』の歴史への信頼があってこそ、人はわざわざ劇場へ足を運ぶ。テレビで1クール流して一瞬で消費されるような萌えアニメじゃ、劇場に持っていってもダメでしょう」(ライター・多根清史氏)

たとえ熱心なファンがいるからといって、なんでも劇場にかければいいのではなく、マニア向けのジャンルだからこそ、“よくわかった”上での確固たる戦略が必要なようだ。

広告