■有楽町にルミネ、阪急メンズ館

東京・銀座の玄関口である有楽町で、JR駅前のマリオンにファッションビルのルミネと阪急メンズ館が相次いで開業する。ルミネは撤退した西武有楽町店の後継テナントで、20代の若い女性から高い支持を受けている。メンズ館は、有楽町阪急を全面改装し、男性特化で再出発を図る。いずれも“脱・百貨”がキーワードだ。区が違うため、銀座から阻害されてきた有楽町の新勢力が、銀座に軒を連ねる老舗・百貨店にリベンジを挑む。

■大家さんで明暗?

「有楽町には何としてでも出店したかった」。28日に開業するルミネ有楽町店の重森淳一店長は、力を込める。

ルミネは、JR東日本グループの駅ビル型商業施設の運営会社。優良テナントの誘致や改装で駅ビルの暗いイメージを一新し、大手百貨店と肩を並べるまでに急成長を遂げた。

有楽町では、ターゲットの年齢層を旗艦店の新宿店よりも高めの20代後半~30代後半に設定。テナントの半数を「日本初」や「地域初」で埋めた。

ルミネが入居するマリオンの東側は朝日新聞社が大家さん。家賃は年数十億円ともいわれる高額で、昨年12月に撤退した西武有楽町店は重い家賃負担で昭和59年の開業以来、「一度も黒字転換できなかった」(そごう・西武幹部)。収益的にはルミネも苦戦必至だが、重森店長は「ルミネがない千葉方面など広域からお客を呼び込み、イメージアップにつなげたい」と、意に介さない。

ルミネに先立ち15日にオープンするのが、「阪急MEN’S TOKYO」だ。成功を収めた大阪・梅田の阪急百貨店メンズ館のノウハウを投入。銀座の百貨店にはない国内外の高級有名ブランドを多数配置し、靴や雑貨も充実させた。

有楽町阪急は売り上げ不振が続いたが、阪急阪神百貨店の武田肇執行役員は「有楽町には世界中からビジネスマンや観光客が集まるが、それに見合った規模のメンズ業態はなく、十分成立する」と、自信をみせる。

初年度の売上高目標は昨年度の有楽町阪急の1・4倍に相当する120億円と強気だ。入居するマリオン西側は阪急系列の東宝が大家さんで、ルミネほどの高額家賃は払っていないとされる。「何が何でも東京からは撤退しないという関西企業の意地」(業界関係者)もある。

■千代田区VS中央区

有楽町から数寄屋橋交差点を渡ればすぐに銀座だが、両者を隔てる溝は深い。有楽町は千代田区、銀座は中央区にあり、老舗が集まる銀座の商店会は、有楽町の店が「銀座」を名乗ることを許さなかった。

銀座進出が悲願だったかつての西武百貨店は、有楽町店を銀座店としたかったが、「銀座の商店会の猛反対で断念した」(そごう・西武幹部)という。

阪急メンズ館は、暴行事件にからみ謹慎から復帰したばかりの歌舞伎役者の市川海老蔵さんをあえてイメージキャラクターに起用。「銀座の老舗百貨店にはできない話題作り」(業界関係者)で、対抗心をあらわにしている。

ルミネも「再開発で商業エリアとなった『丸の内』との連携を考えたい」(重森店長)と、銀座から距離を置く。

■「新宿とは違う」

リベンジに燃える有楽町勢だが、不安もある。ルミネは、「駅外」に大型店を構えるのは初めて。「新宿のようなターミナル駅直結という最高の立地条件なしで集客できるのか、今回が試金石になる」(アナリスト)。さらに、近接する有楽町マルイやプランタン銀座と若い女性という顧客層が重なる。「回遊は期待できるが、買い物単価の安い客を食い合うだけに終わる」(業界関係者)との懸念がぬぐえない。

男性特化のメンズ館は、伊勢丹新宿本店が大成功しているが、「歌舞伎町のホストとその女性客が有力顧客」(百貨店バイヤー)という新宿ならではの特殊性が大きい。

大阪の阪急百貨店メンズ館も「本館から流れるカップル客の貢献が大きい」(関係者)といわれ、メンズ館単独でどれだけお得意さまを獲得できるかは未知数。ルミネ、阪急ともに「新宿との違い」に苦労しそうだ。

銀座・有楽町エリアは、百貨店や高級ブランド店に加え、“早くて安い”欧米のファストファッションブランドが相次いで進出。「オーバーストア(店舗過剰)」の大激戦区だ。銀座への対抗心だけでは勝ち残れない。

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