中高速コーナーが含まれるベルギーGPを制し、苦手とされる高速サーキットのイタリアGPで勝利を挙げたセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が今週末は長丁場の戦いとなったシンガポールGPで表彰台の中央に立った。ベッテルは今シーズン2度目の3連勝を記録し、2年連続でのドライバーズタイトル獲得に王手をかけている。

ザウバーに小林可夢偉が所属していることもあり、コンストラクターズ選手権6位をめぐる争いに注目が集まっているが、フォース・インディアがやや一歩抜け出した感がある。それどころか、フォース・インディアは最近の5戦で36ポイントを獲得しており、コンストラクターズ選手権5位につけるルノーの5ポイントをはるかに上回っている。残り5戦で両チームの差は22ポイント。ルノーはうかうかしていられない。

【レッドブル】
セバスチャン・ベッテル(予選:ポールポジション/決勝:優勝)
マーク・ウェバー(予選:2番手/決勝:3位)

 

ベッテルにとっては、文句のつけようがない週末だった。今シーズン11回目のポールポジションから無難なスタートを見せ、セーフティカー導入やバックマーカー処理もこなしてシーズン9勝目を手にしたのだ。ドライバーズ選手権2位のバトンにあと1ポイント差をつけていればここでタイトル獲得が決まったのだが、その最高の栄誉にあずかるのは次戦鈴鹿となることが確実だ。何せ、残りの5戦で1ポイントを獲得するだけで十分なのだから、1レースあたり22ポイントを積み重ねてきている今シーズンのベッテルにとってはあまりにも簡単なタスクだろう。次戦が行われる鈴鹿サーキットで2連覇中ということもあり、鈴鹿に集まる大観衆の目の前で史上最年少での2冠に輝くことは確実だ。ウェバーはここ最近不得手にしているスタートでポジションを落とし、レース中に挽回を図ったがバトンを捕らえることはできなかった。

【マクラーレン】
ルイス・ハミルトン(予選:4番手/決勝:5位)
ジェンソン・バトン(予選:3番手/決勝:3位)

 

バトンは2戦連続の予選3番手から、3位表彰台に上った。予選でしっかりとタイムを残して決勝でも安定して上位に入るバトンは、これで4戦連続表彰台。残り5戦にして、ベッテル以外では唯一ドライバーズ選手権を制する可能性を有しているドライバーとなったが、2009年以来の戴冠を果たすのは限りなく不可能に近い難題。というのも、バトンがチャンピオンに輝くためには残り5戦を全勝しなければならず、なおかつ、ベッテルが全戦ノーポイントにならなければならないためだ。攻撃的な走りが魅力のハミルトンは、今週末も大いにアグレッシブな戦いぶりを披露してくれたが、マッサとの接触などで手に入れられるはずだった結果を失ってしまっている。信条である1つでも前を狙う姿勢は素晴らしいが、現にチームメイトから17ポイント遅れてタイトル獲得の可能性を逸しており、今後はクレバーな戦い方も身につける必要があるはずだ。

【フェラーリ】
フェルナンド・アロンソ(予選:5番手/決勝:4位)
フェリペ・マッサ(予選:6番手/決勝:9位)

 

アロンソやチーム幹部が認めるように、今週末のフェラーリはレッドブルやマクラーレンに次ぐ3番手チームだった。そう考えれば、アロンソの4位という結果は上々と言えるかもしれない。マッサはハミルトンとの接触が大きな後退につながってしまったが、コース上でオーバーテイクを決めて入賞圏に進出することはできた。すでに2012年型マシンのパーツテストなどを実施しており、来シーズンはタイトルコンテンダーとしての復活が期待される。

【メルセデスGP】
ミハエル・シューマッハ(予選:8番手/決勝:リタイア)
ニコ・ロズベルグ(予選:7番手/決勝:7位)

 

高速サーキットを得意とするマシン特性によりベルギーGPとイタリアGPでは活躍を見せたメルセデスGP勢だが、今週末はトップ3チームに次ぐ存在となった。シューマッハはペレスをオーバーテイクしようとした際に追突してしまい、レーススチュワード団から戒告処分を受けている。ロズベルグはスタート位置と同じ7位でゴール。厳しい課題ではあるが、残り5戦で22ポイント差を詰めてマッサからドライバーズ選手権6位の座を奪えるかどうか注目だ。

【ルノー】
ブルーノ・セナ(予選:15番手/決勝:15位)
ヴィタリー・ペトロフ(予選:18番手/決勝:17位)

 

ブルーノはペトロフを予選で上回ったが、今週末のR31はベルギーGPやイタリアGPと比べると全体的にパフォーマンス不足。予選と決勝の結果がほぼ同じということを考えても、そう言えるだろう。ルノーのドライバーラインアップが話題になっているが、両ドライバー共にドライバーズサーキットの鈴鹿を含む残りレースで自らのポテンシャルを発揮し、来年のシート獲得に向けてアピールしたいはずだ。

【ウィリアムズ】
ルーベンス・バリチェロ(予選:12番手/決勝:13位)
パストール・マルドナド(予選:13番手/決勝:11位)

 

来シーズンからマクラーレンに移籍するサム・マイケル(テクニカルディレクター)にとって、ウィリアムズで戦う最後のグランプリになった。ポイント獲得まであと一歩という結果だったが、チームとして今シーズン4回目の入賞は果たせず。マルドナドはベテランのバリチェロを上回る結果を残している。

【フォース・インディア】
エイドリアン・スーティル(予選:9番手/決勝:8位)
ポール・ディ・レスタ(予選:10番手/決勝:6位)

 

今シーズン初めて2台そろって予選Q3に進出したが、タイヤを温存するためにQ3には出走しなかった。レースではディ・レスタがプライム、スーティルがオプションを履いてスタートし、結果的にはこれが功を奏した。このように作戦を分ける場合、どちらか一方のドライバーが好結果、もう片方のドライバーは伸び悩むということが多いが、今回は両ドライバー共にポジションを上げてのフィニッシュ。確実に競争力が増していることがうかがえる。次戦鈴鹿も相性は悪くないコースと思われるため、対ルノーの争いには注目だ。

【ザウバー】
小林可夢偉(予選:17番手/決勝:14位)
セルジオ・ペレス(予選:11番手/決勝:10位)

 

今週末も予選でペレスが可夢偉に先行。可夢偉はQ2でクラッシュを喫したが、ペレスは予選トップ10まであとわずかというポジションを得た。レースで可夢偉が魅せたのはシューマッハをオーバーテイクしたシーンだろうが、その後、抜き返されてしまっている。さらにセーフティカー導入中にピットストップを行うという不可解な戦略ミスにより、周回遅れを取り戻せずに終戦。ペレスはシューマッハとの接触がありながら1ポイントを獲得したが、チームとしての対応力が相変わらず改善されていないというのは、2週間後に日本GPを控えていることを考えると不安だ。

【トロ・ロッソ】
セバスチャン・ブエミ(予選:14番手/決勝:12位)
ハイメ・アルグエルスアリ(予選:16番手/決勝:21位)

 

最近のレースでは低いスタート位置から入賞を果たしていたトロ・ロッソ勢。しかし、抜きどころが少なくガードレールが近いシンガポール市街地サーキットでは、その流れを破棄することができなかった。アルグエルスアリは終盤、昨年のレースで可夢偉がクラッシュしたのと同じ場所にヒットしてリタイア。とはいえ、完走していても入賞を果たせるパフォーマンスは今週末のトロ・ロッソにはなかった。

【ロータス】
ヘイキ・コバライネン(予選:19番手/決勝:16位)
ヤルノ・トゥルーリ(予選:20番手/決勝:リタイア)

 

今週末も下位3チームの中ではずば抜けた競争力を披露したロータスは、コバライネンが16位完走を達成。この結果にはチーム首脳陣も喜んでおり、チームを率いるトニー・フェルナンデスは「これまでの短いF1経験でベストレース」と語っている。ルノーのペトロフを抑え込んでゴールできたことは自信になるだろう。

【HRT】
ダニエル・リカルド(予選:23番手/決勝:19位)
ビタントニオ・リウッツィ(予選:24番手/決勝:20位)

 

リカルドは2戦連続でリウッツィをアウトクオリファイ。もっとも、リウッツィは前戦イタリアGPのクラッシュにより今回は5グリッド降格処分を受けていた影響もある。レースでもリウッツィは難しい戦いを強いられたようで、オープニングラップに接触でノーズを壊したリカルドが先行した。

【ヴァージン】
ティモ・グロック(予選:21番手/決勝:リタイア)
ジェローム・ダンブロジオ(予選:22番手/決勝:18位)

 

グロックはリカルドに追突されたことでマシントラブルに見舞われ、このレースで最初にリタイアを喫したドライバーになった。ダンブロジオは17位のペトロフからそう大きく離されない位置でゴールしており、チーム首脳も評価している。

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