携帯電話のオプション機能として日本で普及している「おサイフケータイ」が、世界標準対応に向けて動き出す。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの携帯大手3社は来年中にも、日本独自の規格「フェリカ」と国際標準規格の両機能を搭載した携帯電話を発売することで足並みをそろえることが5日、分かった。ユーザーはフェリカと、今後の普及が予想される国際規格を採用した決済端末を利用できるようになる。米グーグルやアップルなどが国際規格に対応する方針を打ち出しており、スマートフォン(高機能携帯電話)などで優位に立つ海外勢に対抗する狙いもあるとみられる。

国際規格に対応した端末の発売時期は、ドコモが「2012年末から年度末」(フロンティアサービス部)、KDDIは「(来年の)いち早い時期に出す」(モバイルビジネス営業部)と、ドコモより早い時期を目指す。搭載する端末は従来型携帯電話のほか、日本製のスマホとなる見通し。

非接触ICカード技術を内蔵し携帯電話で買い物ができる「おサイフケータイ」は、NTTドコモが2004年にサービスを開始。翌05年にはKDDIとソフトバンクも追随し携帯の業界標準サービスとして普及してきた。11年3月末の対応携帯電話は約7000万台に達している。

中核技術である非接触ICカード規格は、ソニーなどが開発したフェリカ。13.56メガヘルツ帯の近距離無線通信規格「NFC(ニア・フィールド・コミュニケーション)」の規格の一つだが、国際標準規格となった「タイプA」および「同B」とは互換性はない。これに対し海外ではタイプA・B規格を採用したサービスが始まりつつあり、米アップルやグーグルもサポートするとみられるなど世界標準として普及する見通しだ。

そこで国内携帯3社は、端末に内蔵する半導体チップに従来通りフェリカの機能を搭載する一方で、利用者情報などを保存するSIMカードにはタイプA・B機能を搭載。1台の端末でどちらのカードリーダー(読み取り)装置でも利用可能にすることにした。国内ではコンビニエンスストアや鉄道改札などでフェリカ対応のカードリーダー装置が普及しており、「これだけ普及しているフェリカをご破算にはできない」(ドコモの山田隆持社長)からだ。

国際標準規格が世界的に普及すれば、日本製の端末を使って海外でも決済サービスを受けられるようにもなる。

これに加え、ドコモは15年以降にはフェリカとタイプA・Bの両機能をSIMカードに内蔵する計画だ。おサイフケータイ機能と端末との依存性を薄め、携帯電話端末を買い替えても同じSIMカードを利用できるようにする。

一方、ドコモ陣営、KDDI・ソフトバンク陣営はそれぞれ韓国のKT、SKテレコムと手を組み日韓両国で国際規格に対応した実証実験を準備中だ。例えばドコモの端末を持つ日本の利用者が、韓国でもおサイフケータイを利用できるようカードリーダーを店舗などに設置。韓国の利用者も同様に日本で利用できるようにする。リーダーはクレジット会社や空港、レストランなどに設置予定だ。

日韓5社は当初、共同で実証実験の準備を進めていたが、その後、2グループに分かれた。しかし、2グループが別々に実験するのは混乱を招きかねず、日韓の5社は再び共同事業化に向けて調整に入ったもよう。

国内3社はすでに確立しているフェリカのインフラを活用しつつ、タイプA・Bの本格普及への備えも進めていく。ただ、フェリカのサポートを重視するドコモと、早い時期にタイプA・Bへの移行を進めたいKDDIやソフトバンクとの間には温度差もあり、調整は難航する可能性もある。

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