トヨタ自動車は米国で揺らいだ自社製品の品質に対するイメージ回復に努力しているが、その取り組みの成否は新型カムリが顧客に受け入れられるかにかかっている。カムリは米国で過去9年間最も売れているモデルだからだ。新型カムリは近くケンタッキー組立工場から出荷される。

トヨタがモデル別の販売台数トップを維持するためには若干の課題がある。

トヨタはかつて自動車の品質の面で疑いなくトップの座にあるとみられていたが、2009年~10年に相次いだリコール(回収・無償修理)と品質問題を受けてそのイメージは揺らぎ、販売台数は落ち込んだ。最も問題となったモデルがカムリだ。カムリには、「全天候型」と呼ばれるフロアマットが使用されており、それはアクセルにひっかかって加速をもたらす恐れがあるとされた。

新型カムリがディーラーに納入される10月初めに、トヨタはカムリ史上最大の販売促進キャンペーンを行う予定だ。40種類の新たなCMを流し、モデル別販売台数トップの維持を誓う。

トヨタ米国部門の品質担当責任者スティーブ・セントアンジェロ氏は、「われわれトヨタがより良く、より強くなって戻ってきたことを知ってもらいたい」と述べ、「全ての従業員はカムリがトヨタというブランドにとって非常に重要であると分かっている」と付け加えた。

同社が製品の品質とイメージの回復を図っているのに対し、フォード・モーター、ホンダ、日産といったライバルはカムリの潜在的な顧客を取り込むことに狙いを定めている。日産のブライアン・キャロリン副社長(マーケティング・営業担当)は「カムリは強力なライバルだったが、中型車市場は変化しており、今は素晴らしい製品がたくさんある」と語った。

自動車業界のコンサルタントやライバルは、トヨタがモデル別トップを維持するのは簡単ではないだろうと指摘している。コンサルティング会社アリックス・パートナーズのマネジングディレクター、ジョン・ホーフェッカー氏は、トヨタへの見方を変えた米国の消費者が少なくなく、品質面で他のメーカーがトヨタと同等になったと考えていると指摘した。

テネシー州クラークスビルで韓国・現代自動車、ゼネラル・モーターズ(GM)のビュイックとGMC、スバル、それにマツダの販売店を営んでいるキャサリン・キャナタ氏は、「現代自動車の『ソナタ』がカムリを含む他のどの車より抜きんでていると思う」と述べた。同氏は「新型カムリはまだインターネットで写真を見ただけだが、ソナタが一番のモデルだと思う」と語った。

これに対し、トヨタは新型カムリの強みとして車内スペースがより広く、燃費が良いほか、よりスポーティーなサスペンションを挙げている。また、スマートフォン(多機能携帯電話)を使ってナビゲーションや音楽関連のインターネットベースのアプリケーションを実行できる「エンチューン」というメディアシステムが搭載される。重量は現行モデルよりも150ポンド(約68キログラム)軽く、高速走行時の燃費は最大でガロン当たり35マイルになる。

同社は「カムリハイブリッド」のアップグレードも行う。出力は200馬力、市街地走行時の燃費はガロン当たり43マイル、高速走行時は39マイルになる。2012年型モデルの大半の価格は11年型よりも200ドル~2000ドル安い。

外観の変化はほとんどない。ちょっと見ただけでは現行モデルとの差が分かりにくい。カムリの一番のライバルとなった現代自動車の「ソナタ」が曲線的なスタイリングをしているのとは対照的だ。

IHSオートモーティブの自動車アナリスト、アーロン・ブラグマン氏は、「新型カムリはこれまでの全てのカムリファンを満足させるだろうし、そうした旧来のカムリファンは多数いる。しかし、新たにファンになる人々が同様に多数になる公算は小さいだろう」と予想している。

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