米コンピューター大手ヒューレット・パッカード(HP)は18日、世界首位のパソコン事業の分離を検討すると発表した。利益率が低いパソコン事業を切り離し、企業向けITサービスなど高収益事業に経営資源を集約する。日本でもNECが中国聯想(レノボ)グループと国内パソコン事業を統合しているが、世界最大手の戦略変更は国内外のメーカーに大きな影響を与えそうだ。

HPはパソコン事業の分社化などにより、「一部か完全な分離を含む幅広い選択肢」を検討し、今後1年~1年半のうちに結論を出すという。レオ・アポテカー最高経営責任者(CEO)は「パソコン事業が世界トップを続けるには、判断に柔軟さと機敏さが必要だ」と説明している。また、英ソフトウエア会社、オートノミーの買収も合わせて発表した。

同社のパソコン事業は売上高の3割を占めるが、営業利益率は5%程度にとどまっていた。これを切り離すことで、今後は利益率で15%前後の高収益が期待できる業務用サーバーやITコンサルティングなど法人・官公庁向けのITサービス事業をさらに強化する狙いだ。

HPは2002年、パソコン大手の米コンパックコンピュータとの合併後、世界シェアで首位となった。米調査会社IDCによると、今年4~6月期の世界出荷台数でもシェアは18.1%で首位を維持している。

世界のパソコン市場は、先進国市場の成熟化に加え、タブレット端末やスマートフォン(高機能携帯電話)など新たなIT機器との競合で成長が鈍化。加えて、HPやデルといった米国勢に加え、エイサーやアスースなどの台湾勢、レノボに代表される中国勢も台頭し、東芝やNECなど日本メーカーの存在感は徐々に小さくなっている。

日本勢からは「アジアのメーカーなどがHPの事業買収に乗り出せば、圧倒的なシェアを持つ巨大企業が誕生する」(関係者)と警戒する声も上がっており、05年に米IBMがレノボに事業売却して以来の大型再編に発展する可能性もある。

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