米国犯罪史上、最も有名な未解決事件の一つ「D・B・クーパー事件」のハイジャック犯が、10年以上前に死亡した男性であるとの新情報が全米で注目を集めている。1971年に米西部で旅客機を乗っ取り、身代金を奪ってパラシュートで逃亡した男についての新情報を米連邦捜査局(FBI)が入手。現在、確認作業を進めており、伝説の怪盗事件が40年たって解明される可能性が出てきた。

身代金20万ドルを持って飛行中の旅客機からパラシュートで逃亡―。男が搭乗の際に使った偽名から「D・B・クーパー事件」と呼ばれたハイジャック事件が、発生から40年たって新展開をみせた。

2日付のロサンゼルス・タイムズ紙など複数の海外メディアによると、FBIシアトル事務所のフレデリック・ガット特別捜査官が「約10年前に老衰で死亡した男性かもしれない」という新証言を入手したという。証人は、口外するのは今回が初めてと説明している。この証言が事実とすれば、犯人は犯行後、約30年間逃げ延びた後、逮捕されないまま死んでいたことになる。

当局では証人の話を説得力のあるものとして調査を開始。40年前に機内で採取した指紋と、男性の所持品から採取した指紋を照合。さらに、DNA鑑定で同一人物かどうかを検証している。

事件は71年11月24日、オレゴン州ポートランドからワシントン州シアトルに向けて飛行中の旅客機ボーイング727の機内で起きた。40代とみられるスーツ姿の男がバーボンと水を注文するときに「爆弾を持っている」と書かれた脅迫状を乗務員の女性を手渡した。

管制官からハイジャック犯に従うよう指示を受けた同機は、シアトルに緊急着陸。男は、乗客全員35人と客室乗務員2人を解放するのと引き換えに身代金とパラシュートを受け取り、再び離陸させた。パイロットに「ネバダ州のリノへ行け」と要求。飛行中に同機の後部ドアから飛び降り、パラシュートを使って脱出するというアクション映画のような手口で身代金を持ち去った。20万ドルは当時のレート(1ドル=360円)で7200万円。消費者物価指数から換算すると、現在では約2億7000万円に相当する。

80年には、男が飛び降りた付近のコロンビア川沿いの森の中で、身代金の一部が発見された。着地に失敗して死亡したとの説も出たが、死体は発見されなかった。米犯罪史上で最も有名な未解決事件に今度こそピリオドが打たれるか、全米が注目している。

◆D・B・クーパー事件 71年に米西部で起きたハイジャック事件。犯人は「ダン・クーパー」の偽名で搭乗したが、発生直後にポートランドのダニエル・B・クーパーという男性が容疑者として浮上し、報道されたため「D・B・クーパー事件」という名称が定着した。事件の影響は大きく、翌72年はハイジャックによる犯行が31件も相次いだが、いずれも逮捕された。降下地点付近では80年に身代金の一部、08年にパラシュートが発見されたが、解決への手がかりとはならなかった。降下地点付近にあるワシントン州アリエルは「クーパーフェスティバル」を毎年開催し、町おこしに利用。81年には事件をヒントにした映画「ハイジャック・コネクション/クーパーの大仕事」がロバート・デュバル主演で公開された。

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