12日(金)に行われているヘレステスト3日目は、セッション開始直後のドライ路面を生かしてハイメ・アルグエルスアリ(トロ・ロッソ)がトップタイムをマークしている。トロ・ロッソ・フェラーリSTR5を駆るアルグエルスアリは1分19秒919を刻んでいるが、その後セッションはウエットコンディションになったため、これより速いタイムが記録されることはないだろう。

この日、最初にコースインを果たしたのはフォース・インディアの新車VJM03を初ドライブすることになったエイドリアン・スーティル。雨の予報だったことから、全チームが本格的なウエットコンディションになるまえにコースに飛び出していったが、セッション開始から10分が経過するとザウバーC29を駆るペドロ・デ・ラ・ロサがメカニカルトラブルを抱え、コース上でストップ。セッションスタートから1時間が経つと、上空からは雨粒が落ち始めた。

この日参加した10チームすべてが、11日(木)とは違うドライバーを起用。マクラーレンはルイス・ハミルトンが12日と13日にMP4-25を駆り、フェラーリはフェリペ・マッサが参加。レッドブルはセバスチャン・ベッテル、ルノーは初日にドライブしたヴィタリー・ペトロフ、メルセデスGPも同じく初日にステアリングを握ったニコ・ロズベルグ、ウィリアムズはルーベンス・バリチェロ、ヴァージン・レーシングはルーカス・ディ・グラッシが担当している。

どのチームもマイレージを稼ぎたいわけだが、コース上の水量はドライタイヤを履くには多く、ウエットタイヤを履くには乾きすぎている状況。よって、どのマシンもインターミディエイトタイヤでの走行を強いられている。

「ウエット状態の中でも走り続けるだろうが、特にインターミディエイトタイヤの摩耗傾向が非常に高いのが問題だ」と語るのはウィリアムズのテクニカルディレクターを務めるサム・マイケル。「供給されているタイヤセットには限りがあるため、ルールで制限された距離を走り切るよりも前にタイヤを使い果たしてしまう可能性もある」とも説明している。

ブリヂストンが供給するタイヤは、各チームに同数が割り当てられており、1年を通じて使えるセット数が決まっている。そのため、テストごとに使用できる本数も決まることになるのだ。

「問題となったのはコンディション変化だ」と続けるマイケルは、「常にウエット、もしくは常にインターミディエイトを履くコンディションならば問題はないのだが、ドライになったりウエットになったりと変化があることによってタイヤの摩耗が進んでしまい、まるでスリックタイヤのようになってしまうのだ。このサーキットはタイヤに厳しいため、ウエットコンディション下でレースを行ったらかなり面白くなるだろう」とも語った。

ウィリアムズにとってフラストレーションがたまる状況を生み出しているのは、ドライコンディションとなった2日目にトラブルによって3時間のロスがあったことだ。

「われわれには信頼性の問題があった。ハイドロリック系のトラブルにより、ドライ状態の午前中セッションで走れなかったのだ。これはかなり大きな問題だ。問題確認はすぐにできたものの、修理には時間を要してしまった。クラッチがオイルまみれになっており、その他の交換にも時間を必要としたのだ」とマイケルはコメントしている。

セッション中盤にはフォース・インディアが興味深い作業を行っていた。スーティルが1周ごとにピットインを繰り返し、右のリアタイヤのみ交換していたのだ。

マッサは25周を走破し、「路面はウエットだったけど、少なくとも僕たちにとってはしっかりと走りこむ必要はなかった。すでにマイレージはたくさん稼いでいるからね」と語っている。

11時45分にはベッテルがピットレーンに戻り、エンジンを高回転まで回して維持。かなりヘルシーなサウンドが響き渡っていたが、すぐにエンジンを止めてメカニックたちがRB6をガレージに押し戻した。ウェバーが行っていた2日間のシェイクダウンをコースサイドで見守っていたベッテルは、午前中に33周を走破している。

「長い冬だったし、ずいぶんとドライブしていなかったね。だから、また2日間待たされるのはうれしくなかった」と話すベッテル。「だけど、最終的にはここに座り、マシンのサウンドを聞きながら走ることができてよかったよ」とも付け加えた。

11時12分に発生した2回目の赤旗中断の原因となったのは、バリチェロだ。滑りやすい路面でスピンを喫したバリチェロは、グラベルにはみ出してストップしてしまった。「マイレージが必要だったから、僕らはたくさん走ったよ」とバリチェロは語っている。

3回目の赤旗は12時39分に提示され、原因はロズベルグのメルセデスGP W01だった。一方、ディ・グラッシはイギリスのファクトリーから送られる新パーツの到着を待っているために、走行を見合わせている。11日にはグロックが走行中にフロントウイングが脱落し、その後の走行ができない状態となっていたのだ。

『ESPNF1』はウィリアムズのテクニカルディレクターを務めるマイケルにインタビューを行い、ウィリアムズが前夜に行った作業内容を聞くことができた。

「いろいろなことを行った。マシンの小さなパーツの改良をいくらか行い、さまざまなシステムチェックもしたんだ。基本的にはマシンを解体し、ギアボックスやエンジン周辺についても同様だ。オイル漏れなどがないか細かくチェックし、すべてのマイレージなども考えて場合によっては交換する。いくつかのパーツについては、可能な限りマイレージを稼ぐまであえて使い続けるのだ」

この日の気温は9.5℃で、路面温度は13.3℃。前日よりも大きく下がっているのが印象的だ。

【ヘレス – 2010/02/12(午前)】

1. ハイメ・アルグエルスアリ – トロ・ロッソ・フェラーリSTR5 – 1:19.919 – 26周
2. ペドロ・デ・ラ・ロサ – BMWザウバーC29 – 1:20.736 – 19周
3. エイドリアン・スーティル – フォース・インディア・メルセデスVJM03 – 1:21.428 – 34周
4. フェリペ・マッサ – フェラーリF10 – 1:21.602 – 25周
5. セバスチャン・ベッテル – レッドブル・ルノーRB6 – 1:21.783 – 35周
6. ヴィタリー・ペトロフ – ルノーR30 – 1:22.000 – 28周
7. ニコ・ロズベルグ – メルセデスGP W01 – 1:22.820 – 20周
8. ルーベンス・バリチェロ – ウィリアムズ・コスワースFW32 – 1:23.217 – 40周
9. ルイス・ハミルトン – マクラーレン・メルセデスMP4-25 – 1:23.985 – 38周
10. ルーカス・ディ・グラッシ – ヴァージン・コスワースVR-01 – ノータイム – 0周

つかの間のドライコンディションをものにしたアルグエルスアリ
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